第4回全国山岳トイレシンポジウムin富山 報告

主催 日本トイレ協会、富山県
共催 環境省
期日 2002年9月5日〜7日
会場 富山市・とやま自遊館

 9月5日から7日まで約500名が参加し、富山市で山岳トイレシンポジウムが開催されました。徳島・三嶺を守る会からは3名が参加し、4月に行なった三嶺のし尿汲み取り担ぎ下ろしの実践報告を行ないました。
 このシンポの議論のポイントであった、日本トイレ協会の問題提起を報告します。
                                  暮石     
山のトイレ対策 これまでの成果、今後の課題

 山のトイレ問題については、一部の熱心な自治体や山小屋で先行的にトイレ対策を講じてきた。研究者や民間企業でも、バイオや燃焼技術を生かして新しい技術やシステムの開発にあたってきた。一方、山岳団体でも、日本山岳会や日本勤労者山岳連盟などでいち早くトイレ問題を取り上げ、研究会やシンポジウムを開催してきた。その結果、山のトイレ・し尿処理問題について重要性が次第に認識されるようになった。しかし、それらの動きは断続的で、全国的なうねりにならなかった。
 山のトイレ問題が、本格的に全国的な問題として取り上げられることになったのは、1998年に山梨県での「第1回全国トイレシンポジウム」からであったといえる。そこでの最も大きな成果は、さまざまな分野の関係者が集まり、情報や意見を交換できたことであった。それ以来、第2回を2000年を東京で、第3回を2001年に松本市で開催し議論を深めてきた。この間には、山小屋や自治体で多くの実施事例を生み出し、環境省の民間山小屋に対する補助制度を創設するなどの前進があった。山のトイレ問題は改善に向けて大きく動きだしたといえる。
 しかし、全国的に見れば、一部の知名度の高い山や規模の大きい山小屋を中心に、トイレ・し尿処理対策が進んでいるに過ぎない。第3回シンポで提案された 登山コース、山岳全体 でのトイレ整備はおろか、現状では多くの山域で個々の山小屋レベルで改善すべき状況にある。
 ここでは、これまでの成果をまとめ、今後取り組むべき課題について整理することにしたい。私たちがそれぞれの立場でこれから、いつ頃を目標にして、なにをすべきなのかを明確にしていく必要がある。

これまでの成果
1.総論から各論へ
 1) 山でのトイレ整備、適正なし尿処理をすべきとの考えは合意できた。
 2) 改善方法について、どんな方法があるかについてのメニューづくりはできた。
 3) 山岳団体、山小屋、行政、企業、研究者が取り組むべき課題は見えてきた。
2.改善すべき課題と整理
 1) 制約条件(道路、電気、水など)下での技術開発
 2) 技術の安定化に向けた性能評価システム、研究開発への支援対策
 3) 廃棄物行政、環境行政での政策調整など、行政間の調整と支援体制の充実
 4) 各セクターの役割分担、責任体制の確立と実践
 5) PPP原則(polluter pay's principle=汚染者負担の原則)、PFI制度(private financial initiative=公共事業民間活用制度)などの考え方、手法の検討

各セクターの役割と責任
  山岳トイレ改善に向けた実践方策と行動プラン
 1) 国・・・・・・@補助制度の拡充、公共施設の整備
           A省庁間の調整と迅速な対応・・・自然公園法、森林法、文化財
            保護法など
 2) 自治体・・・・補助制度の拡充、施設の整備
 3) 山小屋・・・・管理型トイレ・し尿処理方式への転換        (資料集より)